この記事でわかること
- 薬剤師の時短勤務がつらくなりやすい理由
- 子育て中に使える制度(短時間勤務、残業の免除、子の看護等休暇など)
- 時短正社員・パート・派遣の比較と、職場を変えたほうがよいサイン
結論
時短勤務のつらさは、「使える制度」と「職場の体制」がかみ合っていないことから生まれやすいものです。3歳までの短時間勤務、小学校入学前までの残業の免除、小学3年生までの子の看護等休暇など、法律で使える制度を知ったうえで、今の職場で調整できるかを相談しましょう。体制が変わらない場合は、パートや派遣など、働き方そのものを選び直すことも選択肢です。
時短勤務がつらいと感じる理由
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 業務量が減らない | 勤務時間は短くなったのに、担当する業務はフルタイムのまま |
| 肩身が狭い | 早く帰ることや、子どもの急な発熱で休むことに、気まずさを感じる |
| 閉局時間に合わない | 夕方の混雑する時間帯に抜けるため、残った人に負担がかかる |
| 急な休みの代わりがいない | 少人数の薬局では、代わりの薬剤師を確保しにくい |
| キャリアの不安 | 管理薬剤師や認定の取得など、キャリアが止まっているように感じる |
つらいと感じるのは、あなたの努力が足りないからではありません。職場の体制が、時短勤務を前提に組まれていないことも多いのです。
子育て中に使える制度
育児・介護休業法には、子育て中の働き方を支える制度が定められています。2025年4月と10月に改正があり、使える範囲が広がりました。
| 子どもの年齢 | 制度 | 内容 |
|---|---|---|
| 3歳になるまで | 短時間勤務(第23条) | 申し出により、1日の所定労働時間を短くする措置。原則6時間とする措置を含むことが必要(同法施行規則第73条) |
| 3歳から小学校入学前まで | 柔軟な働き方の措置(第23条の3) | 会社は、始業時刻の変更、テレワーク、短時間勤務、休暇などのうち2つ以上の措置を用意し、労働者はその中から選んで利用できる(2025年10月から) |
| 小学校入学前まで | 残業の免除(第16条の8) | 請求により、所定労働時間を超える労働(残業)が免除される(2025年4月に、3歳までから拡大) |
| 小学校入学前まで | 時間外労働の制限(第17条) | 請求により、時間外労働が月24時間・年150時間までに制限される |
| 小学校入学前まで | 深夜業の制限(第19条) | 請求により、午後10時から午前5時までの勤務が制限される |
| 小学3年生の修了まで | 子の看護等休暇(第16条の2) | 子どもの病気・けがの世話、予防接種・健康診断、学級閉鎖などによる休み、入園式・卒園式・入学式に使える休暇。年5日(子どもが2人以上なら10日) |
※ 勤続1年未満の人などは、労使協定で対象外とされている場合があります。子の看護等休暇が有給か無給かは、会社の規定によります。勤務先の就業規則を確認しましょう。
また、これらの制度を申し出たことや利用したことを理由に、解雇その他の不利益な扱いをすることは禁止されています(第23条の2など)。
今の職場でできること
| やること | ポイント |
|---|---|
| 業務の範囲を話し合う | 時短の時間内で担当する業務(投薬・監査・在宅など)を、上司と具体的に決める |
| 時間帯を相談する | 始業時刻を早める・遅らせるなど、混雑時間とのずれを減らせないか相談する |
| 制度を申し出る | 残業の免除や時間外労働の制限は、請求しないと始まらない制度。書面で申し出る |
| 急な休みの段取りを決めておく | 病児保育・家族のサポートなど、急な休みのときの段取りを用意しておく |
| 外部の窓口に相談する | 制度を使わせてもらえない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できる |
働き方の比較(時短正社員・パート・派遣)
| 働き方 | よいところ | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 時短正社員 | 雇用が安定し、育児の制度を使いやすい。子どもの成長に合わせてフルタイムに戻しやすい | 業務量が減らず、負担を感じやすいことがある |
| パート | 勤務日・時間を選びやすい。扶養の範囲などに合わせて調整できる | 賞与や昇給の条件が正社員と異なることが多い |
| 派遣 | 勤務条件(曜日・時間・期間)を事前に決めて働ける。派遣会社の担当者が職場との調整をしてくれる | 契約期間がある。同じ職場で長く働けるとは限らない |
どの働き方が合うかは、子どもの年齢、家族のサポート、今後のキャリアの考え方によって変わります。「今の数年をどう働くか」で考えると、選びやすくなります。
職場を変えたほうがよいサイン
- ☐ 時短なのに、業務量や担当がフルタイムと変わらない
- ☐ 制度の利用を申し出ても、認められない・嫌な顔をされる
- ☐ 時短やパートに変えたことで、不利な扱いを受けている
- ☐ 急な休みのたびに、強く責められる
- ☐ 子育てを理由にした嫌がらせがある
次の職場で確認すること
- 時短勤務・パートで働いている薬剤師がいるか
- 夕方の時間帯の人員体制
- 子どもの急な発熱などのときの代わりの体制
- 子の看護等休暇が有給か無給か
パート・派遣で働き方を変えたい方へ
勤務日や時間の条件を決めてから働きたい方には、パート・派遣の求人を扱う薬剤師の転職サービスが向いています。働き方別の選び方をまとめています。
薬剤師が職場を変えるときの転職サービスの選び方を見る →
PR|派遣・パートの求人も扱う薬剤師専門のサービス:ファル・メイト 薬剤師の正社員・パート・派遣![]()
※ 紹介するのは、近いうちに職場を変えたい方向けの転職サービスです。登録後、担当者から電話で連絡があります。
よくある質問
Q. パートでも、育児の制度は使えますか?
A. 雇用形態に関係なく対象になる制度があります。ただし、勤続1年未満などの条件で、労使協定により対象外とされている場合があります。勤務先の規定を確認しましょう。
Q. 時短勤務は、子どもが何歳まで使えますか?
A. 法律で会社に義務付けられている短時間勤務は、3歳になるまでです。3歳から小学校入学前までは、会社が用意する2つ以上の措置の中から選ぶ形になり、そこに短時間勤務が含まれる場合もあります。会社が独自に、もっと長い期間を定めていることもあります。
まとめ
- 時短勤務のつらさは、制度と職場の体制のずれから生まれやすいものです。
- 3歳までの短時間勤務、小学校入学前までの残業の免除、小学3年生までの子の看護等休暇など、法律で使える制度を確認しましょう。
- 制度を使ったことを理由にした不利益な扱いは禁止されています。
- 体制が変わらない場合は、パートや派遣を含めて、働き方を選び直すことも選択肢です。
あわせて読みたい
出典・参考
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第16条の2、第16条の8、第17条、第19条、第23条、第23条の2、第23条の3(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000076 (2026-10-20確認)
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則 第32条、第33条、第33条の2、第73条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/403M50002000025 (2026-10-20確認)

