この記事でわかること
- 薬剤師が有給を取りにくい理由
- 有給休暇について法律で決まっていること(日数、時期の変更、年5日の取得義務)
- 今の職場でできることと、職場を変えたほうがよいサイン
結論
有給休暇は、条件を満たした労働者に法律で与えられる権利です。会社が時期を変えられるのは「事業の正常な運営を妨げる場合」に限られ、年10日以上の有給がある人には、年5日を取らせることが会社の義務になっています。人手不足を理由に有給がほとんど取れない状態が続くなら、まず記録を残して相談し、改善しなければ休める体制の職場を考えましょう。
薬剤師が有給を取りにくい理由
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 薬剤師がいないと調剤できない | 休む人の代わりに、別の薬剤師を確保する必要がある |
| 必要な薬剤師の人数が決まっている | 処方箋の枚数に応じて、薬局に置く薬剤師の人数の基準がある |
| 少人数の職場が多い | 一人薬剤師や2〜3人の店舗では、1人休むと回らなくなる |
| 応援の仕組みがない | 近くの店舗からの応援や、派遣薬剤師の手配がない |
| 休みにくい雰囲気 | 「みんな取っていない」「繁忙期だから」と言われ、申請しにくい |
人手が足りない職場ほど、有給が取りにくくなります。ただし、人手不足は有給を取らせなくてよい理由にはなりません。法律のルールを確認しておきましょう。
有給休暇について法律で決まっていること
有給の日数
労働基準法第39条により、雇い入れの日から6か月間続けて勤務し、全労働日の8割以上出勤した人には、有給休暇が与えられます。日数は、勤続年数に応じて増えます(週5日勤務などの通常の働き方の場合)。
| 勤続年数 | 有給休暇の日数 |
|---|---|
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日 |
パートなど、週の所定労働日数が少ない人にも、日数に応じた有給休暇が与えられます(同条第3項)。使わなかった有給は、翌年まで繰り越せます(請求権の時効は2年。同法第115条)。
会社が時期を変えられるのは例外のとき
有給休暇は、労働者が請求した時季に与えなければならないのが原則です。会社が別の日に変えられるのは、「請求された時季に与えることが事業の正常な運営を妨げる場合」に限られます(同条第5項。「時季変更権」と呼ばれます)。
時季変更権は、休みそのものを取り消す権利ではなく、別の日に与えるためのものです。「人が足りないから有給は取れない」と、時期の提案もなく断り続けることは、この仕組みとは違います。
年5日は、会社が取らせる義務
年10日以上の有給休暇がある人には、そのうち年5日を、会社が時季を指定してでも取らせる義務があります(同条第7項)。違反した会社には、30万円以下の罰金の規定があります(同法第120条)。
有給を取ったことでの不利益な扱いはNG
有給休暇を取った人に対して、賃金を減らすなどの不利益な扱いをしないようにしなければならないと定められています(同法附則第136条)。
今の職場でできること
| やること | ポイント |
|---|---|
| 早めに申請する | 1〜2か月前に申請すると、シフトや応援の調整がしやすくなる |
| 申請の記録を残す | 口頭だけでなく、メールや申請書で日付を残す |
| 年5日の取得状況を確認する | 年10日以上ある人は、年5日を取れているか確認する |
| 上司の上(エリア・本部)に相談する | 店舗内で解決しない場合は、管理部門や人事に相談する |
| 外部の窓口に相談する | 労働基準監督署や、都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料)に相談できる |
心身の不調があるときは、無理をしないで
休みが取れず、疲れが抜けない・眠れないといった状態が続く場合は、まず医療機関に相談してください。
職場を変えたほうがよいサイン
- ☐ 年10日以上の有給があるのに、年5日も取れていない
- ☐ 申請しても「人がいない」と断られ、別の日の提案もない
- ☐ 有給を取ると、評価や給料で不利に扱われる
- ☐ 相談しても、応援・人員補充の見通しがない
- ☐ 体調が悪くても休めない状態が続いている
次の職場で確認すること
- 有給休暇の取得実績(前年の平均取得日数など)
- 薬剤師の人数と、休みのときの応援体制(近隣店舗・派遣)
- 連休の取りやすさ(夏季休暇・年末年始のシフト)
転職サービスでは、「有給を取りやすい職場を希望」と最初に伝えておくと、取得実績を確認したうえで求人を紹介してもらいやすくなります。
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よくある質問
Q. 有給を取る理由を聞かれたら、答えないといけませんか?
A. 労働基準法には、有給休暇の取得に理由を求める規定はありません。ただし、会社が時季変更を検討するときに事情を聞かれることはあります。
Q. 辞める前に、残っている有給をまとめて使えますか?
A. 退職日までの勤務日であれば、有給休暇を請求できます。引き継ぎの日程とあわせて、早めに相談しましょう。
Q. パートでも有給はありますか?
A. あります。週の所定労働日数などに応じた日数が与えられます。
まとめ
- 有給休暇は、条件を満たした労働者に法律で与えられる権利です。
- 会社が時期を変えられるのは事業の正常な運営を妨げる場合に限られ、休みを取り消すものではありません。
- 年10日以上ある人には、年5日を取らせることが会社の義務です。
- 相談しても休めない状態が続くなら、休める体制のある職場を考えましょう。
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出典・参考
- 労働基準法 第39条(年次有給休暇)、第115条(時効)、第120条(罰則)、附則第136条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 (2026-10-20確認)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html (2026-10-20確認)

